HOME>MATERIALS > ミャンマーの反政府武装勢力への呼びかけ
私たちはICBL(地雷廃絶国際キャンペーン)のNSA問題作業部会の一員です。
ICBLは、世界的な市民運動団体で、1992年以来過去7年間で、1400もの市民団体やNGOをかかえる組織に成長し、また90もの国々に支部を持つようになりました。(タイ、インドそしてバングラデシュにも支部があります。) ICBLは、対人地雷の使用、所有、製造および輸出入の世界的な禁止を目標にしています。 1997年12月、122の国々が対人地雷の使用、貯蔵、製造、移譲の禁止及びその破棄に関する条約、−対人地雷全面禁止条約(オタワ条約)と呼ばれる−に調印することに賛成しました。そしてICBLの精力的な活動により、135以上もの国家が対人地雷の所有と使用を放棄することに同意するという結果をもたらしました。私たちはビルマにおいて、現軍事政権に対抗して武装自衛するNSA、および諸政党に接触を試みています。 2000年1月、人民議会を代表する委員会は、緊急対応事項として、オタワ条約に同意することこそが、人民議会の設立に大きな意義を持っていると表明しました。 貴組織はあなたがたの人々を代表しており、貴組織の活動は、国際的には正式に認められていないものの、政府が果たすべき役割を遂行しており、私たちは貴組織がある程度武力に訴えるのを認めています。しかしながら、ICBLは、対人地雷の使用について貴組織と話し合いをもちたいと考えています。対人地雷は、それが埋めてあるとわかっている地域は敵軍が侵入しないという観点からは、効果的な武器かも知れません。しかし、それは同時に“無差別殺傷武器”でもあるのです。地雷は、敵軍を殺傷するのはもちろん、味方までも殺してしまいます。 戦地から避難してきた人々は地雷の埋設場所を知りませんし、農民達には警告が行き届かないかもしれません。子ども達も命を落とし、もしくは障碍を負ってしまいます。自分達の武器が味方の兵士を殺してしまうのです。 対人地雷を使用することによる、軍事費用および利点については、貴組織では十分検討を重ねられてきたことでしょう。しかし私たちは、対人地雷を使用した戦闘をやめることがもたらす政治的利点についても考えていただきたいのです。 オタワ条約は、国家間の条約ですが、ICBLは、貴組織のような自衛および自由獲得を目指す活動にかかわるNSAをも、対人地雷禁止の対象に含める方法を探っています。これは、ジュネーブ・コールと呼ばれています。NSAも政治的機関としての位置付けを与えられ、国家と同様に認められることを意味します。オタワ条約を締結した国家と同様に、地雷禁止の義務を果たすことができますか?現在貯蔵している地雷を破壊し、今後の不使用を表明できますか? この件について、抱くであろう質問に対する答えを右記に掲載する。 地雷廃絶運動に関するQ&AQ:対人地雷全面禁止条約とは何か? A:対人地雷全面禁止条約は、対人地雷の使用の停止を求める世界的な運動の結果として成立した条約である。地雷廃絶運動は、退役軍人、人道的医療・救援機関、人権団体などにより始められた。この運動は、それを支持する国々の政府の協力を得て、対人地雷全面禁止条約を成立させるに至った。対人地雷全面禁止条約は、政府及び軍部による対人地雷の使用、貯蔵、生産、及び移譲の禁止並びに、廃棄を実現させるためのものでとある。 Q:非政府武装勢力(NSA)も署名できるか? A:できない。承認された国家のみである。 Q:軍事的防衛活動を行っている未承認のNSAはどうすればよいのか? A:対人地雷の使用を中止する公式な宣言を行うか、あなた方の人民を守る武力闘争の中で対人地雷を使用しないという一方的な宣言をして、地雷廃絶運動に参加することだ。ICBLのNSA問題作業部会は、NSAからの対人地雷禁止に関する宣言を受け取るために、特別な国際的な機構づくりを同時にすすめている。それが「ジュネーブ・コール」という機関である。 Q:すでに参加している団体はあるか? A:ある。アジア、アフリカ、南アメリカの NSAからすでに18の署名を受け取っている。ICBLはそれらを1999年5月発行のランドマイン・モニター・レポートによって公表している。そのレポートは全ての政府、国連機関に配られている。あなた方の組織が宣言すれば、ICBLのNSA作業部会がそれに対し公式な返答を行い、国連の機関を通じ、あらゆる政府、団体に公表する。 Q:参加すれば、我々にどんなメリットがあるのか? A:世界における政治的な立場を高めることができる。「対人地雷は、人間を目標にした兵器である。そのような兵器は、いかなる人間に対しても、いかなる場所でも、いかなる時でも、いかなる理由があろうと使ってはいけない」という対人地雷に関する世界的な合意に、あなた方が賛同していることを世界に知らしめることができる。このことは、あなた方にとって、政治的に有利な点だ。対人地雷を未だに使用しているるビルマのほかのNSAは、国際世論の幻に呼び出されて、責任を追及されるだろう5より多くのNSAが対人地雷廃絶運動に参加することで、ビルマ政府に対する圧力も強まり、政府も同様の行動をとらざるをえなくなるだろう。 Q:地雷除去に対する国際的な援助は受けられるのか?技術訓練や除去機材供給はあるのか? A:紛争が終わるまではできない。除去された地雷が、将来、紛争の場で再使用される恐れがあるからだ。NGOによってもたらされた技術や設備が、攻撃的軍事活動の一部として使用される可能性もある。しかしながら、あなたの勢力範囲に属する一般市民に被害をもたらす地雷原の危険表示(マーキング)や除去に関しては、国際社会に援助を求めることはできる。これは、戦争を終わらせるためという別の理由を政府やマスコミに示す事になるからだ。さらに、将来において、あなたの支配地域は国際的な地雷除去援助活動を優先的に受けられる可能性もある。 Q:どうすれば、宣言に署名できるか? A:宣言自体は、短く明確なものだ。地雷廃絶運動の主要部分のみを満たしていればよい。つまり、対人地雷を使わない、作らない、輸出入しない、貯蔵しない、という点である。 Q:この場合、「地雷」とは何をさすか? A:「地雷」とは、人間の存在、接近接触などで起動爆発し、人間を殺傷する、すべての爆発物をさす。そして、その製造及び購入。 Q:この「対人地雷全面禁止条約」に含まれないタイプの地雷はあるのか? A:ある。クレイモア対人地雷(指向性破片式地雷)、例えば、アメリカ製のM−18地雷は除かれる。兵士が直接地雷を発火させるタイプのものは、この「対人地雷全面禁止条約」では除外されている。しかしながら、罠線発火装置によっても作動し、待ち伏せなどの目的で使用される場合、これは対人地雷とみなされ、禁止されている。処理防止のための装置のついた対車両地雷は、「対人地雷全面禁止条約」においては除かれている。一般市民及び軍の両方の車両を狙って、道に地雷が敷設されている場合もあり、そのため、一般市民が被害を受けている。また、迫撃砲や他の爆発物が罠として仕掛けられて人間の接近によって起爆する場合もある。あなた方の宣言は、政府による「対人地雷全面禁止条約」をしのぐような内容にしていただきたい。人間によって起爆する装置は使用しないこと、非戦闘員や動物が被害を受けるような対車両地雷は使用しないことを宣言にもり込んで欲しい。 Q:宣言の後、意思が変わった場合はどうなるか? A:宣言の後で、あなた方の意思が変わったり、あるいは、対人地雷を使用していることが発覚した場合、あなた方の政治的正当性は徐々に失われていくだろう。地雷を使用しないことが客観的に立証されれば、それは、あなた方を政治的に有利に導き、支援を強めることになる。 Q:宣言は、どのように発表したり、配布すればよいか? A:宣言の写しをICBL本部、ICBLのNSA作業部会、ジュネーブ・コールの3か所に送ること。宣言文には、あなた方の組織で権限を持つ人たちの署名が必要である。政治上のリーダーと軍事上のリーダーによって承認されていることが明らかでないといけない。この宣言文は、記者会見、記者発表、地域の行政機関、そして支持団体等の通常のルートをとおして発表する。 (※これを言いたTCBLの代表である、ヨシュア・モーゼ氏はアメリカ人の仏教徒で、タイ、カンボジアを拠点にして、平和と和解を求める活動を1980年代から続けている人です。) |